2013年7月22日月曜日

日本の高等教育奨学金制度の課題

教育費が家計に及ぼす影響は結構大きいものです。奨学金制度の利用者は年々増加し、現在大学学部生の約50%が何らかの奨学金を利用し、また、約3人に1人が独立行政法人日本学生支援機構の奨学金を利用しているそうです。奨学金の利用者が増加する一方で、返済金の滞納者も増加しています。上記の支援機構の1昨年末の延滞学は876億円、延滞者33万人、3ヶ月以上の延滞者のうち46%は非正規労働者か無職者ということです。有利子の機構の奨学金では、延滞金自体の利率も半年ごとに5%発生するため、返しても元金が減らないで、延滞金が膨らみ続けているケースもあります。延滞金の付加が大きくのしかかっているのです。

OECD加盟国中、大学の学費が有償であるにもかかわらず、ほとんどを貸与型の奨学金に頼っているのは日本だけです。最近は、高等学校の学費無料化に所得制限がかけられ、浮いた予算を給付型奨学金の財源に充てるということもなされているようですが、教育予算の中での配分替えにとどまっており、奨学金制度の根本的な検討には至っていません。

日本の奨学金制度のほとんどが貸与型であり、給付型の奨学金はごくわずかです。このあたりに制度設計上の問題点もあるように思います。
返済能力に応じた返済が可能な柔軟な返済制度、所得連動型の返済プランなども検討すべきと思います。

また、資力が乏しくなる高齢期の親が長期の保証債務を負うという現状も奨学金の制度理念からは良しとは言えないものです。大胆な制度の見直しが必要ではないでしょうか。<K