2013年11月5日火曜日

パテント・トロールをご存知ですか- NHK番組制作に協力しました


特許というと、苦労して開発した技術を他の人にまねされないために登録しておくものというのが一般的な理解です。今も、その本質に変わりはありませんが、技術革新は日々行われ、とても開発合戦が行われ、すぐに陳腐化してしまう危険性もあり、また、いったん登録が認められた特許権は財産権として売買されているのも実情です。どのように権利を守るのか難しい面があります。

最近では、自らが保有する特許権を侵害していると主張して、巨額の賠償金やライセンス料を得ようとする問題行動を取る者も現れ、社会問題となってきました。その多くは、自らはその特許を実施していないで(特許に基づく製品を製造販売したり、サービスを提供したりしていない)、権利を主張するものです。今年6月アメリカのオバマ大統領は、賠償金やライセンス料を獲得しようとするパテント・トロール(Patent troll)の取り締まりを打ち出しました。米国では、過去2年間にパテント・トロールによる訴訟件数は約3倍になり、アメリカでの特許訴訟の62%を占めると言われます。トロールとは北欧神話に出てくる洞窟などに住む奇怪な巨人や小人です。日本では、特許マフィアとも呼ばれます。

同業同士で特許権の侵害が争われることがありますが、この場合は、製造している製品や提供しているサービスが似通っていることがあったり、部品や技術の相互提供がメリットなることもあることから、紛争がこじれるよりも友好的な解決を図り、相互の特許権をまとめて実施許諾するクロスライセンスという解決をしたりもします。

しかし、パテント・トロールでは、このような解決の余地はなく、訴訟が長引くことを恐れて、不当な要求に負けて、泣く泣く要求に応じてしまうというケースもあると聞きます。

 

この度、今月1130日から毎週土曜日午後9時~、全4回放映予定のNHK名古屋放送局の番組、「土曜ドラマ 太陽の罠」の制作に協力しました。パテント・トロールを背景とするサスペンス・ドラマです。放映を楽しみにしています。皆様も是非ご覧ください。〈池田桂子 上杉謙二郎〉