2013年10月15日火曜日

相続開始後話し合いがつくまでの遺産の管理をめぐっての争いは・・・


遺産分割の話し合いを始めるタイミングは難しいものです。相続税の申告期限は被相続人の死亡による相続開始から10ケ月ですが、いつまでに話し合いをしなければならないという法律上の期限はありません。未分割のまま、先代、先先代の名義のままになっている不動産の例は数多くあります。

協議が整うまで、誰が管理するのか、不動産に関しては、度々問題になります。

新たに相続人の一人を住まわせる場合には、共有関係にある物の管理行為に当たることから持ち分の過半数によって、決めることになります。無償とするか有償とするかも、話し合いによります。有償になれば、賃貸借の規定が適用されます。持ち分過半数の同意がないまま相続人の一人が独り占めするのは、持ち分を越える部分については違法ということになります。もっとも、ややこしいと感じられることですが、共有関係というのは、一人ひとりは単独で、不動産を単独で使用できる法律関係にあるので、他の相続人からの明け渡しを求めることができません。賃料相当額を請求できるだけです。

では相続人の一人が従前から亡くなった被相続人と同居していた場合はどうか、と言いますと、被相続人との間で無償で住んでよいという合意があったと推認されますので、この場合は、賃料相当額を求めることも難しいところです。 

占有している相続人が遺産である不動産の管理費用、例えば固定資産税やなど修繕費などを負担した場合には、その清算も問題となりえます。

また、被相続人が第三者に賃貸していた場合の賃料はどうなるでしょうか。共有財産から生じた賃料債権は、相続分に応じて分割された債権として、支払いを個別単独で請求することができます。

兄弟も大きくなれば、いろいろ職業や環境にあり、話し合いがつくまでもなかなか難しいところがあります。参考になれば幸いです。<池田桂子>