2010年10月6日水曜日

営業秘密の管理―チェックシートはお役立ちツール!

優れた技術力をどう守るのかは、企業の戦略として重要です。特許を出願して、出願から20年発明を保護し、法の認めた譲渡可能な独占的な権利を取得するのがよいのか、それとも、ブラックボックス化して、営業秘密として不正競争防止法の対象として第三者に公開せずに守っていくのか、両者を使い分けることができれば何より万全なのですが、ベストミックスはなかなか難しいものです。
平成21年に、営業秘密の不当な取得行為を原則として刑事罰の対象とするなどの不正競争防止法の改正が行われたのですが、中小企業としては、なかなかそういったことまで手が回らないのが実情であるようにと思われます。
そこで、経済産業省では平成22年4月、法改正の「中小企業等における管理体制の導入の手順例や参考となる各種契約書の参考例」を開示しました。
これは、これから秘密管理体制を構築しようとする事業者(主として中小企業)や組織的な管理体制を再構築するために従来の管理体制の見直しを図ろうとする事業者(前同)にとって有効な示唆(問題点の気づき)を与えることを狙いとしています。「営業秘密管理チェックシート」の各得点を高めることによって、秘密管理性が認められる可能性を高くすることができる、というなかなかの優れものツールです。
「営業秘密管理チェックシート」における得点が低いことを理由として秘密管理性が直ちに否定されるものではありません。現状認識のための自社診断ツールとしての活用できると思いますし、管理体制を(再)構築する際の参照ツールとしても活用することができると思います。
 営業秘密として保護されるためには3つの要件が必要です。①秘密として管理されていること(秘密管理性)、すなわちアクセス制限やアクセスした者が秘密であると認識できること、②有用な営業上または技術性の情報であること(有用性)、③公然と知られていないこと(非公知性)です。しかし、秘密管理がしっかりできていない中小企業はとても多いのが実情です。
チェックシートは、裁判例の分析を踏まえ、管理方法を中心として項目化し、特に重要視されているものについて重み付けをしていますから、秘密管理性が肯定される可能性の高い管理を実践しているか否かについて自己点検をすることができます。一度やってみませんか。(K)

参考資料として、
秘密管理チェックシート www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html